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元バックパッカーが、55ヶ国渡航した経験に基づくマイルの賢い使い方、お得な航空券、海外旅行のノウハウ等を書き連ねてます。現在、福岡で単身赴任中。

U-NEXT株価急落の原因を分析

11月15日。雨金祭り参加者の一部に莫大な利益をもたらしてくれた㈱U-NEXT<9418>の株価が急落したそうです。
ツイッターでどなたかがつぶやいていたのでそれを知った次第で、ニュースを探したところ、以下の通りでした。

モーニングスター社発表記事

 U-NEXT <9418> が3日続急落。一時89円安の496円まで売られ、9日に付けた年初来安値575円を大きく割り込んでいる。14日引け後、16年12月期連結利益予想の下方修正と、期末一括配当予想を無配にすると発表、嫌気された。

 通期業績予想で、売上高は430億円から450億円(前期比32.5%増)に引き上げたものの、営業損益が14億円の黒字から3億5000万円の赤字(前期は10億300万円の黒字)に、最終損益が7億円の黒字から9億円の赤字(同5億2200万円の黒字)に転落する。売上高は、会員数増加に伴い、増加する見込み。一方で、コミュニケーションネットワーク事業でのマーケティング活動やオペレーション体制の構築への先行的な投資などが重しとなるほか、貸倒引当金やたな卸評価損、減損損失の計上が響く。

 期末一括配当予想は、最終損益が赤字に転落したことから従来の4円から無配(前期実績6円)にするとした。

 午後1時1分時点の株価は、前日比73円安の512円。

提供:モーニングスター社

m.finance.yahoo.co.jp

いきなり赤転・無配発表だとそりゃあ急落するわなあと言った感じですが、記事を読んで気になったのは、赤字下線部青字下線部

赤字下線部
売上が伸びているのに営業損益が赤字ってどゆこと?
青字下線部
会員数と売上高は常にパラレルな関係なの?

あと記事には書いてないけど、
・『U-NEXT』も赤字なの?売上に貢献したはずなのに。

この記事を読んで同社のIR資料をざっと見たところ、どうやら『2016年期第3四半期決算』にそれらの答えがありそうな感じでした。
ということで、一緒に答えを見つけに行きましょう。

【もくじ】

その前に。

U-NEXTの実施する事業について

まずは、大まかな事業構造を理解することが先のようです。
ココを理解しておかないと、「何が赤字なのか」決算書だけ見ても誤解を招く原因になるからです。
これからいろいろな数字や表が出てきますが、すべて同社のHP上にあるIR関係資料から作成したものです。

事業名 コンテンツプラットフォーム事業 コミュニケーションネットワーク事業
事業内容
(主なもの)
映像配信『U-NEXT』 MVNO『U-mobile』
固定回線『U-NEXT光』
売上規模
(前事業年度)
120億円 220億円

【ポイント】
1.映像配信事業とMVNO・固定回線事業の2事業を実施中。
2.決算でも事業別(セグメント別)の経営成績を開示、会社全体の売上規模のうち映像配信事業は1/3程度。

【解説】
映像配信『U-NEXT』は大きな柱の一つではあるようですが、あくまでも、メイン事業は全体の2/3を占めるMVNOと固定回線のよううです。

両方とも横文字がコで始まるためわかりづらいので、ここでは、
・コンテンツプラットフォーム→映像配信
・コミュニケーションネットワーク→固定回線等
と言い換えることにします。

では、決算を見ましょう。

2016年第3四半期連結決算の概要

会社全体の経営成績とセグメント別開示情報の一部を抜き出しました。
この会社は、事業年度を1月~12月としているようですね。

会社全体の経営成績

売上高 2015年
1月~9月
2016年
1月~9月
営業利益 249億円 330億円
当期純利益 5億円 ▲11億円
一株当たり
当期純利益
33.61円 ▲70.90円

セグメント別売上高及び営業利益

事業名 映像配信 固定回線等
売上高 113億円(88) 216億円(160)
営業利益 6億円(6) ▲8億円(6)

カッコ内は前年同期の業績で、単位は億円。

【ポイント】
両事業とも増収となり会社全体の売上高は伸びたが、固定回線等事業に伴う営業赤字(貸倒引当金・たな卸資産評価損の計上)や特別損失(減損損失の計上)が会社全体の業績に大きく響き、当期純利益も一株当たり当期純利益もマイ転。
(下線部は、損益計算書とIR資料から記載)

【解説】
赤字の原因は『U-NEXT』ではないことがわかりました。
これで、一つ目の疑問「売上が伸びているのに営業損益が赤字ってどゆこと?」は、雨金祭り参加者的には解決(ちょっと強引だけどw)。
ただ、『U-NEXT』の売上が右肩上がりな一方、営業利益が対前年度で横ばいなのが気になります。
決算説明資料では、「先行する獲得コスト等の販管費増」との記載があります。2Q決算でも同じ文言だったのですが、もし売上増の要因が雨金祭り参加者だとしたら、「販管費増に伴う売上増」の説明は必ずしも正しくないということになります。
例えば、ポイントサイトのポイントバックを増やさなくたって、我々は2,000マイル(ポイント)/件をゲットするためにガンガンコンテンツを購入するからです。

この次は、我々雨金祭り参加者が同社の経営にどのような影響を及ぼしているのかを見ていきましょう。

映像配信事業の業績推移と雨金祭り参加者の関係を分析

以下、映像配信事業『U-NEXT』に絞って分析していきます。
(最初に事業構造を説明したのは、分析内容の絞り込みを行うため)

四半期別売上高の推移

1Q 2Q 3Q 4Q
33億円 38億円 41億円 -

雨金祭り参加者からの売上は3Q(7~9月)に反映されているはずなのですが、ぱっと見売上増に著しく貢献しているようには見えません。
3Qだけ飛びぬけているとそう言ってもおかしくないのですが…
プレスリリースの通り、「販管費増等の(一般ユーザ向け)営業努力による増収」が正しいのかもしれません。

契約者数の増加率

2013年 2014年 2015年 2016年
100.0 160.3 210.9 290.1

いずれも9月末時点の契約者で、2013年9月末を100%として算出。

2015年までは50%~60%の増加率だったのが、2016年は一気に80%の増加率となってます。
コレは雨金祭り参加者が原因でしょうか?もう少し調べてみましょう。

2015年9月末 2015年12月末 2016年3月末 2016年6月末 2016年9月末
100.0 103.1 110.5 120.7 137.6

2015年9月末を100%として再算出。

表では分かりづらいですが、グラフにすると6月末~9月末に掛けてグイッと伸びていることがわかります。

f:id:poyatrip:20161115234430j:plain

伸び率が大きい時期とアメックス公共料金キャンペーンの時期が一致しており、「増加要因はアメックス公共料金キャンペーン参加者によるもの」の説明が一定程度成り立つと言えましょう。
ただし、「契約”者”数」となっており、同一人物の複数アカウントがカウント対象になっているのかどうかはわかりません。
減る方については、月額費用が掛からなくなる「解約」を持ってカウント対象外としているようです。
アカウントだけ残っている状況では、カウントされない模様。もっとも、固定収入が見込めない状況では当然と言えば当然ですが…

なお、調査に際しては2Q決算資料からも引っ張ってきました。

ソース 2015年9月末 2015年12月末 2016年3月末 2016年6月末 2016年9月末
2Q決算資料 104.6 107.8 115.6 126.2 -
3Q決算資料(再掲) 210.9 - - - 290.1

それにしても、契約者数と言いながらなぜ率表示にするのでしょう。比較のためいちいち割り戻さなくてはならなくて面倒でしたよ。
一人当たりの売上高とか企業秘密ということなのでしょうか。

分析結果など

と大層なものではないのですが。
「会員数と売上高は常にパラレルな関係なの?」は、少なくとも雨金祭り参加者の場合は『ダウト』と言えましょう。

現に、以下の通り3Qでは契約者の伸びと売上の伸びが比例していません。

2Q(末) 3Q(末) 伸び率
契約者数増加率 120.7 137.6 1.14
売上高(百万円) 3,860 4,157 1.07

また、今後の会員増自体見込まれません。
もっとも、雨金祭り参加者なら、ココまで分析しなくても自らの体験としてわかっている話。
特に6月以降参加者については、一人当たりの売上高は多くて数千円(基本料金)とタカが知れています。
www.poyatrip.xyz

どうやら、我々雨金祭り参加者は、ステークホルダーに対するプレゼンのネタとして使われていたようですね。
「結局経営改善に貢献しなかった奴らの有効活用」ってことでしょうか(笑。
プレスリリースの殆どが暗い内容の中、唯一の明るい材料が『(会員数増加による)売上高増』ということで、明るい材料を与えたことで我々も同社のお役に立てているようで何より。

【参考】その他映像配信事業業績見込みに関する留意点など

ニュース記事でもIR資料でも明記していませんが、『販管費(費用)の増』にも留意する必要があります。
上にも書きましたが、現時点では売上増と費用増がパラレルになっているようで、営業利益が横ばいです。
むしろ売上高営業利益率が下がっている状況の中、「売上増」だけ切り取ったところで今後の経営見通しが明るいようには思えません。

同社の説明は「全体の市場規模が拡大しているのに連れて弊社の売上規模も拡大する見込み」という内容でしたが、株主的立場からは、利益拡大(若しくは効率的な経営)に向けた展開等の説明が欲しいところ。少なくとも、雨金祭り参加者はこれ以上コンテンツを購入することはありませんし、大方解約済では?3Q実績を判断材料にすると、足元をすくわれるかも…なんて。

…あれ?「売上高は、会員数増加に伴い、増加する見込み」って市場規模の拡大が前提ってこと?完全他力本願やないかい!!!
今頃気づいた…

本日のまとめ

最後は余談になった挙句尻すぼみになってしまいましたが、以上、

・U-NEXT株価急落の原因は、雨金祭りとは全く関係ないところにあった
・雨金祭り参加者からの売上は、U-NEXT全体規模の中では焼け石に水であった
・焼け石に水でも、会員増(→売上増)ネタとして有効活用されている模様

というお話でした。

えっ?で?今後株価はどうなるの?

この記事は、主に(私を含む)雨金祭り参加者向けに、特にU-NEXTへ莫大な投資を実施した方などが感じているかもしれない

・俺(わたし)の金が売上に多大な貢献しているはず。なのに何で赤字なんだ!罠だ!

等の疑問を一緒に解こうと作成したもの。あくまで『マイレージ』カテゴリ的ネタです。

株価の話になると、むしろ全体の2/3を占める固定回線等事業を分析した上で今後の展望についても評価する必要があって、とても1記事には収まりませんし、時間も必要です。
(ここまでで約五千字・数時間を費やしています…)

また、分析に際しては今回決算のポイントとなる「貸倒引当金やたな卸評価損、減損損失」等会計用語の解説が不可欠で、そうなるとマイレージカテゴリには馴染まないマニアックな記事になってしまうので、もしコンテンツだけでなく株式まで購入してしまった方がいらっしゃって希望される場合には検討しようかと…

あと、拾った数字等に転記ミス等あるかもしれません。その場合はコッソリご指摘下されば、コッソリ修正いたします。