外旅行に行く際に、最も気になるのは現地の治安。
まず最初に、『外務省 海外安全ホームページ』で国・地域の危険度を調べるものと思います。
が、このページ。
政治的・外交的配慮が多分に含まれた結果を表示しており、必ずしも治安の実態を表しているものではないことに留意する必要があります。
外務省のサイトなので、当然と言えば当然なんですけどね。
誤解を承知で申し上げれば、『先進国に甘く発展途上国に厳しい』。
ご覧になればわかるかと思いますが、最近テロが頻発しているEUの一部や銃社会の米国(特に南部)が危険度表示されない一方、東南アジアの某国では一度でもテロが起こったら、即注意喚起と危険度表示。
危険度表示はされても、行ってみると何てことなかった…という経験を何度もしていくうちに、この地図を見て首をかしげるようになったのです。
やはり、調べるに際しては現地在住者情報や旅行者の実体験が最も重要です。
そこで、曲がりなりにも55ヶ国旅した中で、意外と治安が良く感じた国・地域を紹介します。
ただし、先ほど申し上げた通り「行ってみると何てことなかった…」程度の主観・体験に基づくもの。
ボクが知らなかっただけで、実は治安が悪い地域ですぐ隣で殺人事件が起こっていた…ということもあったのかもしれません。
あくまでも、参考情報の一つとしていただければ。
もくじ
東アジアで意外と治安が良いと感じた国・地域
(かつての)中国各地
20世紀は旅行者泣かせだった、かの国。
何を尋ねても「没有(ない)」、お釣りは投げてよこす…など。
このあたりの文化は今も残っているのかもしれませんが、この10年で、随分旅行しやすくなりました。
短期滞在ではビザも不要となりましたし。
一方、旅行者泣かせであっても、意外と治安には問題がなく、大抵は夜も安心して歩けました。
社会主義国家や独裁国家は国民に不便や平等を強いる一方、統制が働くため治安が良く、旅行者にとってはWelcomeな方向に働く場合があります。
現在の中国も概して治安自体には問題はないと思いますが、昔ほどではないかもしれないことに注意する必要があります。
ただ、民族問題を抱えている国境付近などは気を付けた方がよいかも。
中国国内の旅行先としては、様々な民族が暮らしていて異国情緒あふれる地域なのでとても魅力的なのですが、各民族と外来の漢民族の関係はよくありません。
民族間のけんかや紛争に巻き込まれるリスクを注意すべきです。
↓東トルキスタン(ウイグル自治区) カシュガルにて
と、安全情報を見たらボクの見解と一致していましたね。
かつてのマカオ
今でこそラスベガスを凌ぐ一大エンターテイメント基地としての地位を築き上げたマカオ。
しかし、昔は必ずしも安全という印象はなく、1999年に中国へ返還される前後などは日本のニュースでも「マフィア抗争」「銃撃事件」などネガティブな情報を取り上げていました。
実は、この年。
夏休みに香港発着で華南地域(広州→桂林→陽朔→肇慶→珠海)をぐるっと回っていた際に、珠海からマカオ経由で香港へ戻らなくてはならなかったのですが、当時のネガティブ情報に怯え、入国してから香港行きのフェリーターミナルへ向かうバスの中でも「流れ弾に当たることがないように……」と祈っていたものです。
結局流れ弾に当たることもなく現在に至っているわけですが、ビビっていたボクのマカオ滞在時間はたったの30分(=バスに乗っていた時間)。
速攻でマカオを離れることしか考えていませんでした。
ただ、「治安が悪そうには全く見えないけどなあ……」「報道の印象とは違うなあ……」と首をかしげていたことも事実です。
その後まもなく中国に返還され、2004年に改めてガッツリ観光のため訪問。今では香港よりもマカオの方がお気に入り。
日本よりも治安が良いのではないでしょうか。
↓ビクビクしながら初マカオで撮影した唯一の写真
東南アジアで意外と治安が良いと感じた国・地域
フィリピン・ルソン島北部(ビガン、ラオアグ)
首都マニラを始めとして、治安が良くないという印象が強いフィリピン。
ぶっちゃけ、マニラは未だに緊張します。マカティ地区にいるときでさえ。
なので、あまり長居したいとは思いません。
一方、首都を離れるとガラっと雰囲気が変わるという印象があります。
同じ国かと思うくらい。
今回紹介するルソン島北部は、本当にのどかなものでした。
だからと言って田舎過ぎず、適度な都会なのにこの雰囲気であることがポイントでした。
↓州都 ラオアグ(ラワグ)の市場
台湾からの直線距離が近いので、台北からの直行便が就航しないかなあと思ってます。
マニラを経由せずに行きたいものです。
↓ビガンは「世界の美しい村 7位」として紹介
www.poyatrip.xyz
インドネシア・スマトラ島
赤道を跨ぐために虎穴へ入ったのですが、最大都市のメダンはやたらと治安が良くないという評判で、スマトラ入りするときは正直ビビっていました。
が、『行ってみると何てことなかった…』メダンは本当に治安が良くなかったのかもしれませんが、田舎はそれはもうのんびりしたものでした。
カンボジア・プノンペン
カンボジアは、東南アジア最後の訪問国(唯一未踏の東ティモールは除く)。
タイから近いのにも関わらず、長い間未踏だったのはプノンペンに怯えていたから。
しかし、『行ってみると何てことなかった…』。
肌感覚では、ルソン島北部のように「治安に問題なし」と太鼓判を押せるまでには至りませんが(首都だけにいろんなリスクはあると思われ)、チャリを借りて夜に街中を走り回ることは可能くらいのレベル。
↓サイクリング?中に信号待ちしているところ。
中東で意外と治安が良いと感じた国・地域
北キプロス(トルコが実効支配)
『キプロス紛争』が有名なため、日本人にとっては決して治安が良い印象はないのだろうと思います。
キプロス共和国(南キプロス)はEUに加盟していることもあって特段心配はしていなかった(実際すこぶる治安は良かった)一方、”北”はどうだろう……という心配はありました。
しかし、『行ってみると何てことなかった…』。
↓キレニア城から街を眺める
トルコ・イスタンブール
日本人女子に人気のこの都市。
ただ、テロ事件で二の足を踏むパターンが増えているのではないでしょうか。
今年冬。不慮の事故でストップオーバーを余儀なくされてしまい、図らずしも10数年ぶりに滞在することになってしまいました。
東洋と西洋が混じった独特の雰囲気や街並みは、唯一無二。
初心者だった初訪問時はそのあたりよくわからなかったのですが、いろいろ見てきたあとに訪れるとそれがよくわかります。
治安はともかく、「三大うざい国」の次に来るくらい旅行者を悩ませるこの都市ですが、それだけの魅力があるということなのでしょう。
虎穴に入らざれば虎子を得ずということで、観光客が減少していて、トルコリラも安くなっている今こそが最大のチャンスなのかもしれません。
実際、リラ安のおかげで「ええっ?こんな値段で?」とびっくりするくらい安く宿泊できました。中級ホテルでも2~3千円ですよ。
↓グランドバザール。朝イチで行ったのでほとんどいませんでした。
↓シルゲジ駅の雰囲気がお気に入り。前回行ってよかったので10数年ぶりに再訪。
↓不慮の事故についてはこちら
www.poyatrip.xyz
イスラエル・テルアビブ
イスラエルって出入国が厳重だから無茶苦茶治安が悪いという印象を勝手に持っていましたが、入国したらインフラ、街並み、そして治安も先進国並みでビックリしました。
イスタンブールと違って、観光地としての魅力はほとんどありませんが……
中米で意外と治安が良いと感じた国・地域
地球の裏側にあり情報が少ないせいか、「中南米はあまり治安が良くない」とひとくくりにされがちなこの地域。
しかし、個別に調べていくと各国で状況が違うこと、また外務省サイトの危険度表示にも濃淡があることもわかります。
2017年2月に世界一周しに行った際、「先進国以外で危険度表示がない国ならまず間違いがなかろう」というボク的基準によって足跡をつけに行った国・地域が以下でした。
実際、『行ってみると何てことなかった…』
このあたりであれば、清水の舞台から飛び降りる気持ちにならなくても東南アジア感覚で大丈夫かもしれません。
コスタリカ・サンホセ
首都なのに人口数十万人と地方都市並み。
のどかさも地方都市のようで、観光客が街歩きをしても不安になるような場面はありませんでした。
ただ、中米(南米も?)の特徴として、治安に問題ない区域と治安が悪い区域で住民等が棲み分けされているようなので、治安が悪い区域に立ち寄らないよう気を付けなければなりません。
グルメ情報やホテル情報、観光情報を調べる前に、治安の悪い区域をインプットしておくのが大事なようです。
パナマ・パナマシティ
大都市でまるでシンガポールのよう。コスタリカの首都・サンホセとは全然異なります。
中心部・新市街なら治安もシンガポール並みと言っても過言ではありません。
ただ、シンガポールと異なるのは、やはり中米らしく治安がよろしくない地域があるということ。
旧市街の端っこを歩く機会があったのですが、確かに雰囲気はよくありませんでした。
【番外編】意外と治安が良いと感じるような気がする国・地域
ここまではボクの実体験に基づく感想ですが、ここからは予想。
「ここなら行けるんじゃないか…」と思っている国・地域。
- イラン
- オマーン
- エジプト(カイロに限る)
近いうちに行く予定で、今必死に調べているところなんですけどね(笑)
まとめと補足
まとめ
- 外務省海外安全ページはあくまでも目安として、多少は割り引いてインプットすべし
- 先進国は危険度+0.5(欧米の一部は+1)、それ以外は危険度-0.5
- 先進国以外で危険度表示がない国・地域はまず無問題と思ってよい
- 最も信頼できるのは在住者情報か個人の旅行記
- 「面」ではなく「点」で調べて判断すべき
補足
今回紹介したのは、あくまでも「意外性」に基づく主観に基づく国・地域です。
皆が安全と認識しているシンガポールや香港、台湾、安全だったけど意外とは思っていなかったモンゴルやスリランカ、ミャンマーやラオスなどは対象外ですので、念のため補足しておきます。
その他
治安情勢は日々変化します。必ず最新の情報を調べるとともに、旅行記や在住情報について「いつ時点の」ものかを確認しましょう。
ちなみに、今回記事に関しては
東トルキスタン:2002年
かつてのマカオ:1999年(返還前)
ルソン島北部:2012年
スマトラ島:1999年
プノンペン:2013年
北キプロス:2015年
イスタンブール:2017年
テルアビブ:2015年
サンホセ:2017年
パナマシティ:2017年
相当古いのもありますが、「行ってみるとなんてことなかった……」体験談を紹介したく掲載しました。